続 腸の病気の話
こんにちは
前回の続きで今回は治療についてのお話です。
前回の記事が難しすぎるとスタッフに不評だったので、今回は出来るだけわかりやすくお話ししようかと思います。。。
腸のリンパ管拡張症の治療には2つの柱があります。
1.低脂肪食への切り替え
2.ステロイドの投与
です。
ものすごく簡単に書くと、リンパ管拡張症はリンパ液の通り道が炎症などにより狭くなったところに、腸から吸収された脂肪分が詰まることによって引き起こされます。
そこでステロイドで炎症を抑えつつ、脂肪の摂取量を減らしてリンパ液をサラサラにすることによってリンパの流れを改善するのです。
ところでマルコちゃん(仮)の経過を見てみると、実はすでに低脂肪食とステロイドの処方を受けています。
治療方法自体は間違っていなかったのですね。
なぜ治療に反応しなかったのでしょうか?
理由は2つあります。
1つ目の理由は脂肪の制限が十分でないことです。もう1つの理由はステロイド内服薬の吸収不良です。
前者は食事を完全手作り食に切り替えていただくことによって解決しました。
後者については、腸の環境が悪すぎて飲んだ薬が吸収されずにそのまま排泄されていたものと推測されます。こちらは症状が改善するまで皮下注射での投薬を行いました。
その結果、状態は1週間程度で安定して、今では下痢もなく血液検査の結果も正常範囲で安定しています。
今回のように長く続く下痢には実は思わぬ病気が隠れていることが意外と多いです。
そこで原因を特定して(今回は内視鏡をしていないので不十分なのですが)、少しやり方を変えるだけで劇的に症状が改善することもあります。
たかが下痢と思わず、しっかりとした診察が必要ですね。